豪ドル/円相場は、1豪ドル=86円台後半まで下落する展開に。中国経済の減速に対する警戒感が後退する中、8月7日の86.41円で当面のボトムを確認した形になっていたが、新興国市場発でリスクマーケット全体が不安定な地合を強いられる中、豪ドル相場に対しても突破的な売り圧力が見られ、改めて売り優勢の展開になっている。特に、対米ドルで豪ドル売り圧力の強さが目立つ状況になっている。
8月22日にHSBCが発表した8月製造業購買担当者指数(PMI)が前月の47.7から50.1まで上昇したのがシンボリックだが、中国経済に対する過度の懸念が後退している。中国当局が融資規制などに乗り出しているのは間違いない模様だが、現段階でのマネーサプライズや不動産価格指数などを見る限りは、本格的な景気減速圧力までは確認できていない。このため、6月との比較では資源国通貨に対する悲観ムードが後退しており、豪ドルの急落傾向にも一定の歯止めが掛かった形になっている。中国に関しては、9月1日に政府の製造業PMI発表も控えており、こうした指標を手がかりに中国リスクの軽減をさらに進めることが可能なのかが問われることになる。ここで中国経済に対する信認回復が進めば、豪ドルの下落ペースは鈍化しよう。
もっとも、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、豪ドル安が進まない場合には追加利下げに踏み切る可能性が高く、豪ドル安トレンドそのものの修正は困難な状況が続いている。このまま中国の指標改善が進めば豪ドル安に是正の動きが強まるだろうが、それは追加利下げのトリガーとなりかねないことが周知される中、豪ドル相場は緩やかな歩調で下値模索の展開になるだろう。
テクニカルでは、88.70~88.80円水準にある一目均衡表の雲下限が抵抗線に。直近安値86.41円をブレイクすると一段安に。サイコロジカルは、前週の7勝5敗から6勝6敗へ。14日RSIは37.08。